旧正月の料理
韓国では、旧正月やお盆の茶礼、法事の祭祀(チェサ)の準備を大体は長男の嫁がします。
私は韓国に来てから20数年間、ほとんど一人で準備してきました。
だからいつも茶礼と法事前はストレスで気が重くなってたんですが、
今年は娘のおかげでだいぶラクでした。
上記サイトに書いてあるように、お供えする料理は地域ごとに違うが大体決まっています。
料理を置く場所も決まっています。(私は適当に置く)
名節前は物価が上がるけど、特に今年は果物が高くてビックリ!
例えばみかんは今までは一盛5000ウォンくらいだったのに、今年は一万ウォン。
ここまで上がったのは初めて。
ナシは安くても一個5000ウォンから(3個セットで買えば安くなるが、どうせ買っても食べないのでもったいない)
ナシは高いしどうせ誰も食べないから、代わりに皆が好きなイチゴにしていいかと夫に聞いたらOKしてもらえたのでイチゴにしました。
スイカやバナナも高いので買わない。
あとは娘の要望で、お餅の代わりに大型マートで買った生クリーム入りのクロワッサンを供えたり、
トングランテン(お肉のチヂミ)の代わりにチキンナゲットを供えました。
もらった黄色いマンゴーをそのまま供えて、夫にはサツマイモだと言ってみたり(笑)
見えなくもないぞ(≧∇≦)
それから数年前の名節の時の話。
皮を剝いた栗をお供えしないといけなくて、ちょうどその時サツマイモが家にたくさんあったので、娘の提案でサツマイモを栗のような形にカットしてお供えしたこともある←これは夫にバレなかった( ´艸`)
お魚は、イシモチ(조기)をお供えしないといけないが、値段が高いし子供達も私も食べ飽きたを通り超してもう見たくないくらいだったので、娘がサバにしてみたら?と言ってきて、それもいいかもと思ってサバの切り身を出したことも。←これはさすがにやんわりと怒られました(;^ω^)
こんなことしてご先祖様に怒られそうですが、私にとったら娘の発想が面白くて。
こんな感じで、決まっているものではなくて私達が好きな食べ物に変えてみたり、作る量をかなり減らすことで、だいぶラクになりました。(ご先祖さまのお供えものなのに誰の基準で作ってるのか(笑)
私の固定観念で教えられたようにやらなきゃと思っていたけど、娘と一緒になって楽しむことで精神的にとてもラクになりました。
今まで何度も、これなくてもいい?やらなくていい?とか言ってはきたんですけどね。
でも法事の時は親戚達が来るので、好きなものを代わりに出すことは出来そうにないですが量は減らしたいと思ってます。
今までは旧正月が終わっても1週間くらいは、残った料理を一人食べ続けないといけなかったけど(食べ飽きて誰も食べてくれないから)
今回は私達が好きなものを中心にお供えしたので、あっという間になくなり、今残っているのはリンゴとイシモチだけで他は全部食べ切りました。
先祖を敬うことは大切なことだとは思いますが、こういう宗教的な儀式にこだわって無駄な出費までして何故しないといけないのか?とよく思います。
時代は変わる
旧正月前に偶然、道端で韓国人の知り合いに会って立ち話しをしたんですが、その人は「仕事もしながら茶礼や祭祀(チェサ)の準備をしないといけないのは大変だということもあり、数年前から家族で話し合ってもう料理は作らなくてもいいことになった」そうです。
今は簡単に果物だけで済ませていると言っていました。
うちの場合は義理姉の許可がないと、難しいだろうな。。。
「元々は、こういう儒教の伝統は中国からきたんだ」と。←これは勉強して知っていたが。
「じゃあ、中国はこういう茶礼や祭祀をして先祖を敬ってるのかな?」と聞いてみたら、それはしていないそうです。
昔、李氏朝鮮時代に儒教が入ってきて、官僚階級の身分である両班達だけが茶礼や祭祀を行っていて、それがだんだんと国民に広がっていったんだと、言っていました。
李氏朝鮮時代の仏教、儒教、および仏像等の盗難問題について、
①李氏朝鮮時代(1392 年から 1910 年まで続いた朝鮮半島の最後の王朝。李朝ともいう。高麗の次の王朝)に入ると、一転して儒教が国教となったため、仏教は徹底的に弾圧された。
所謂「斥仏揚儒(せきぶつようじゅ)」(仏教を排斥し、儒教を信奉する)が国策として決定したのである。李朝時代において、代を重ねるごとに、仏教に対する締め付けは厳しさを増していき、儒教唯一絶対主義が朝鮮を覆っていく事となった。
初期には王族の保護を受けたが、士林派の集権で弾圧が強化された。僧は都の漢陽に入ることを禁止された上、賎民階級に身分を落とされた。
また、全国に 1 万以上もあった寺院は、国家的に保護を受けるべきものが 242 寺に限定され、その他の寺院は所有地と奴卑を没収され、また多くが破壊された。
さらに、第 3 代太宗の時代の 1407 年(太宗 7 年)には、12 宗が 7 宗 88 寺院(曹渓宗・天台宗・摠南宗・華厳宗・慈恩宗・中神宗・始興宗)に、次の世宗の治世(世宗 6 年・1424年)にはその 7 宗派も曹渓宗・天台宗・摠南宗を統合して禅宗、華厳宗・慈恩宗・中神宗・始興宗を統合して教宗と、2 宗派にまとめられた。
88 の寺院は、禅宗 18 寺院・教宗 18 寺院の計 36 寺院を残し廃寺となり、この時期に朝鮮半島の仏教は著しく衰退した。
――wikipedia 等より
韓国でも今は、共働きなど時代の流れに伴ってこういう儀式は昔よりかなり簡素化されてきたように思います。
Z世代が親になる頃には、誰もがもっとラクに過ごしやすい名節や法事のかたちになってほしいものです。